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待ったなし!義務化された食品リコール届出制度の注意点

(※このページは2022年2月12日に更新されました)

 

今年2021年6月1日に、食品リコール(自主回収)届出制度が義務化されました。

対象はすべての食品関連事業者です。

スタートはしたけれど、

「どんなときに、どこに届出するの?」

「どう準備したらいいの?」

とお困りではないでしょうか?

この記事では、従来と比較して、何がどう変わり、どう対応すべきかがわかります。

食品専門行政書士が、わかりやすくお伝えします。

  


食品リコール届出制度とは


近年、異物混入、不良品質、賞味期限やアレルギー不正表示が多く発生しています。

 

このため役所は、被害の恐れや、不安がある食品に対して、リコール命令を出します。

また、命令前に、製造メーカー、販売業者自らが製品の回収を行う例があります。

では、リコールとは何を指すのでしょうか。

じつは、リコールについての明確な定義はありません。

役所の専門委員会では、2つの見解を出しています。

・広い意味では、危害を最小限にするために必要な是正措置すべて

・狭い意味では、事故発生防止のため、事業者等が無料で交換・修理・回収をすること

 

食品のリコールに関わる法律としては、主に、食品衛生法と食品表示法があります。

両者の違いを大まかに言えば、守備範囲の違いです。

食品衛生法の守備範囲は食品の「中身そのもの」。

食品表示法のそれは「中身の表示方法」です。

 

これまでにも、リコール届出制度はありました。

しかし、2つの法律の間で、うまく情報交換されているとはいえませんでした。

そこで2018年の法改正で制度を設計し直し、「一体化」させました。

2021年6月1日、一体化した食品リコール届出制度の義務化がスタートしました。

届出は都道府県などに、オンラインで入力します。

しかし、届出をしてオシマイではありません。

届出後、会社名、リコール内容が、消費者に公表されます。

届出してからがたいへんなのです。

 


リコール事故発生時の社内対応と社外対応


 

 

万一、リコール事故が起きた時に、どう対応すべきでしょうか?

 

危害を最小限にするためには、迅速な対応が必要なのはもちろんです。

そのためには、社内、社外、それぞれでやることを事前準備しておくことが必要です。

まず、会社(組織)のトップをリーダーとして、つぎの対応が必要です。

1.社内対応
・事実確認
・異常レベルの安全性評価
・回収の要否判断(危害拡大、法令違反)
・緊急対策組織設置
・社内発表
・再発改善実行

 2.社外対応
・被害者様へのおわび
・リコールQ&A公表
・社外公告(社告)
・保健所へ連絡して指示を受ける
・厚生労働省、農林水産省、自治体への届出
・報道機関記者会見

 これらを「同時並行」で進める必要があり、まさに、1分1秒を争います。

その場になって右往左往しないように、予行訓練しておく必要があります。

専門家を入れて、常日頃から手順、段取りのマニュアルを作っておくのです。

 


リスク管理としてのリコール保険


食品リコールをリスク管理で考えた場合、リスク転嫁のために検討したいのがリコール保険です。

 

もちろん、食品事業者は、安心安全でおいしい食品を製造提供しようとしています。

しかし、どうしても、不測な事態が発生しまうことがあります。

リコールには、多額の費用を要します。

新聞紙に社外公告を掲載する場合は、最低でも数百万円から数千万円かかります。

対象数量によっては、回収費用(商品代、配送費)は、数億円になるかもしれません。

これらの費用を利益でカバーするのはたいへんです。

このため、リコール保険に加入する必要があります。

 

食品リコール保険の特徴は以下の2つです。

・リコール時に必要となる費用を補償します。

・特約によって、在庫品の廃棄費用も補償の対象となります。

 


まとめ


いかがでしたでしょうか?

1.食品リコールは、お客様からの信用を失墜させます。

2.信用回復には多大な努力と長い時間を要します。

3.製品、経費などが無駄になるばかりか、廃棄処分による環境影響もあります。

 

食品リコール事故が起きたら本当に「待ったなし」です。

日頃から、食品リコールの専門家とネットワークを作っておくことをおすすめします。

 

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