(※このページは2022年2月8日に更新されました)
「海外でおもしろい食品を見つけた、仕入れてほしい!」
お客様からこんな依頼受けたけど、輸入手続がわからず困った経験はないでしょうか?
せっかくの注文ですので、海外のメーカーにすぐ連絡して輸入したいところですね。
しかしやっかいなことに、食品の成分、残留農薬、添加物の基準が外国と日本では違うのです。
すぐには輸入できないのです。
輸入しても、その食品が日本の基準に合致しないと、門前払いで返品や廃棄となってしまいます。
日本の基準に合致するか否かを定めたのが、食品届手続きなのです。
この記事では、食品輸入手続での最大の関門、食品届の対策がわかります。
食品商社マンで、食品輸入手続に詳しい行政書士が、わかりやすくお伝えします。
食品届とは
食品届は、正確には「食品等輸入届出」といいます。
食品衛生法で規定され、厚生労働省検疫所に提出します。
名前が「届出」なので、「ただ書いて出せばいいんでしょ」と思われるかもしれません。
しかし、実態は、輸入を許可してくださいという「申請」だと考えてください。
提出するのは輸入者で、原則、輸入の都度提出します。
税関に輸入申告する「前」に、食品届に、届出済印(受理印)を押してもらう必要があります。
食品届の対象は、3種類。
「食品」、間接的に口に触れる「容器包装」、乳幼児が口にする「おもちゃ」の3つです。
では、なぜ、このような届出(申請)が必要なのでしょうか?
それは、何か食品事故があった場合、輸入者に「メーカー」としての責任を負わせるためです。
お役所が、海外のメーカーに問い合わせるのは遠いし、言葉の問題もあります。
そこで、国内にいる輸入者に、メーカーとしての品質保証責任を負わせるのです。
もちろん、海外のすべての食品が安心安全ではない、と考えているわけではありません。
日本製は安心安全で、海外の食品は安心安全でないという考えはナンセンスです。
この点、「非関税障壁」だとして、国内外の市場開放論者から追及されたりします。
国によって、食品衛生の考え方が異なるからとしか言いようがないのが現実です。
事前相談とは
では、食品衛生の輸入基準にはどのようなものがあるのでしょうか。
具体的には、原材料、添加物、残留農薬、容器包装の材質について、基準が決まっています。
これらが基準内であることを「書面で」証明する必要があります。
初めて輸入する人が、これらの輸入基準に精通していることは稀です。
そこで、検疫所では、輸入者による自己啓発を目的として、事前相談制度を設けています。
事前相談では、食品衛生法に関する基本的な考え方を知ることができます。
たとえば、製造基準、添加物の使用基準、農薬の残留基準を知ることはできます。
しかし、事前相談を受ければ、食品届を受理されるという確約をもらえるわけではありません。
あくまで、「この検査は事前にしてたほうが良いですよ」といった一般的な指導に留まります。
具体的な指導は、食品が到着後、食品届が提出された時点で審査を行い、その結果決まります。
事前相談後に、食の安全に関する情報が変わり、「話しが違う」こととなる懸念もあります。
たしかに、事前相談制度ではどのようなことに注意したら良いか教えてもらえて有益です。
しかし、最終的には、輸入者が自己責任で食品届を提出することに留意する必要があります。
確認願いとは
事前相談制度があるのはわかった。
でも、最終的には自己責任だし、「どうも利用しづらいな」と思う方もいらっしゃると思います。
輸入前に、テスト的に輸入して、日本で検査したいと考える方もいらっしゃると思います。
そこでおすすめしたいのが、「確認願い」の制度です。
いわば、本格輸入前の模擬試験です。
確認願いの流れは次のとおりです。
検疫所に、「確認願い」(書面)を提出します。
↓
書面には、検査の目的で少量輸入し、不特定多数に販売、提供しない、と記します。
↓
食品届の対象品目とならないことを、検疫所に「確認」してもらいます。
↓
確認されると、食品届なしで輸入できます。
↓
食品届けなしで輸入後、本格輸入時に指導を受けそうな項目を検査します。
↓
検査結果が基準内であることを確認できたら、本格輸入するかどうかを決定します。
注意点としては、あくまで「模擬試験」だということです。
同じ商品でも、確認願いで輸入したときと、本格輸入の時で検査結果が異なることがあります。
製造年月日や製造時期が変わると検査結果が変わることは、時々起こります。
当然ながら、本格輸入時の検査結果が優先されます。
基準に合致しない場合、食品届は受理されず、積み戻し(返品)又は廃棄となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
食品の輸入手続は、食品衛生法で規定されています。
違反すると、積み戻し(返品)または廃棄する必要があり、多大な費用と手間がかかります。
違反予防には、この2つがとても大切となります。
1.事前相談制度
2.確認願い
検疫所との面談では、専門用語が多用されますので、戸惑われるかもしれません。
まずは、身近な専門家にご相談されては、いかがでしょうか?
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