(※このページは2022年2月8日に更新されました)
海外から買いたいと引き合いが来た。
「輸出したいけど、回収できるの?」
「トラブルになったらどうするの?」
このようなお困りはないでしょうか。
じつは、食品輸出の最大のリスクは、代金回収なのです。
輸出ですから、お客様は海外にいます。
いわゆる「距離」の問題があります。
何かあったとしても、すぐに代金回収(集金)に飛んでいくわけにも行きません。
鮮度が命の生鮮品で、到着時に腐っていたと理不尽なクレームをつけられるかもしれません。
代金回収できないリスクもあります。
では、どうしたらよいのでしょうか?
この記事では、食品の輸出でトラブルを回避して代金を回収する方法がわかります。
食品輸出の契約と手続に詳しい行政書士が、わかりやすくお伝えします。
大原則は「全額前金」
せっかくの海外からの引き合い、なんとか受注したいという気持ちはよくわかります。
ただし、海外は遠いです。
言葉も文化も商習慣も違います。
まずは、見積書で、代金決済条件を詰めることが必要です。
大原則は、全額前払いです。
つまり、商品出荷の前に、全額支払ってもらうことです。
全額前払いなら、輸出者は安心して出荷できます。
ところが、輸入者である海外のお客様から見たらどうでしょうか?
先に支払って、もし出荷されなかったら、お金をドブに捨てたことになります。
貿易の世界では、日本は、契約をしっかり守る国と言われています。
しかし、残念ながら、日本が例外です。
先に品代をもらったら、商品を出荷しないで逃げてしまう国のほうが圧倒的に多いのです。
このように、輸出者、輸入者の利害が相反するので、代金をいつ支払うのかが問題となるのです。
どうしても無理なら「半分前金、半分後払い」
全額前払いで交渉しても、相手との力関係で、どうしても承諾してもらえないこともあります。
どうしたらよいでしょうか?
その場合、まず、その取引先と本当にビジネスする必要があるのか検討します。
たとえば、販売力のある取引先で、今後長期にわたって、大量の取引が期待できるか検討します。
もし、答えがイエスであれば、「次善の策」を考えます。
「半分を前払い、半分を後払い」で提案してはいかがでしょうか?
後払いとは、たとえば、輸出先での輸入通関が完了後10日以内に送金するといった提案です。
もし、「半分を前払い、半分を後払い」の答えがノーだったときどうするか?
取引しないほうがよいと思います。
「全額後払い」となる代金回収リスクを抱えた取引は長続きしないと考えるからです。
それでも取引したいなら、保険を掛ける
では、輸出実績を作りたいなどの事情で、どうしても取引したい場合どうしたらよいでしょうか?
売掛債権回収保険を掛けることをおすすめします。
最近では、輸出にかかわる売掛債権を保険対象とする保険会社があります。
保険料率(=保険料/売上高)は、相手の経営規模によります。
ポイントは、保険会社が事前調査して、相手に支払能力があるかを判断することです。
調査によって保険料率が決まります。
その取引で、売上総利益率(=粗利率=売上総利益/売上高)10%を確保できるとします。
そうであれば、仮に保険料率が2%だとして、8%の利益が確保できます(10%ー2%)。
保険を掛けて輸出する価値があると、判断できるのではないでしょうか。
売掛債権回収保険会社には次のような会社があります。
輸出契約する前に、保険会社と保険料について相談する必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「売る」より難しい代金回収では、
1.代金回収条件を契約でしっかり取り決める
2.全額前払いを大原則とする
3.回収懸念があれば、売掛債権回収保険を掛ける
ことをおすすめします。
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