(※このページは2022年2月5日に更新されました)
海外から輸入して、日本で販売しようとします。
商売ですから、輸入原価(仕入原価)がいくらになるか、採算が大事ですよね。
では、輸入の場合、どのように輸入原価計算をしたらよいでしょうか?
一般的には、まず、仕入価格(たとえば、ドル建て)に為替を掛け算します。
それに関税、運送荷造費、保管料その他の費用を加えて輸入原価とするかと思います。
じつは、原価計算する上でとても大きな要素となるのが、関税なのです。
関税はその名の通り輸入時に発生する税金で、原価(費用)となります。
原価計算をするときに、その商品の関税がいくらなのかを知っておくことはとても大切です。
この記事では、関税のベースとなるHSコードと、これを事前に知る「事前教示制度」がわかります。
輸入手続に詳しい食品行政書士が、わかりやすくお伝えします。
関税とは
関税とは、外国の商品を輸入する時に課せられる税金です。
関税の大きな目的は、自国の産業の保護です。
たとえば、外国から品質が同等で価格の安い商品がたくさん輸入されるとどうなるでしょうか?
自国の商品は割高になって、売れなくなりますよね。
そこで、外国商品に関税を上乗せすることで、外国商品の国内販売価格を高くすることができます。
結果、自分の国の産業を保護することができます。
関税は、いわば、国内での販売価格の調整弁のようなものです。
関税を仕入代金の何パーセントにするか決めたものを「関税率」といいます。
関税率は国ごとに、輸入する商品ごとに異なります。
つまり、国と商品との組み合わせ(マトリックス)で決まっています。
関税はどのように決まるの
では、具体的にどのように決まるのでしょうか?
世界共通のルールで、「HSコード」というデータベースがあります。
世の中のすべての商品を番号で分類した、いわば、商品の「背番号」です。
HSコードと言ったり、税表番号、税番と言ったりしますが、同じものです。
1.まず、HSコードの決められます。
世の中にある全ての商品を、大分類、中分類、小分類に分けます。
この分類で決められた6ケタの番号がHSコード(税表番号、税番)となります。
ある商品がどのHSコードに属するかの判断には専門知識を要します。
その商品のどの特徴、特性に注目するかで、複数のHSコードが候補になる場合があるからです。
その場合には、最終的には、「輸入地」である日本の税関が、ひとつのHSコードを指定します。
このように、最終的には、輸入地の税関が決めるのが世界ルールです。
2.次に、全てのHSコードに対する税率が割当られます。
法律や条約に基づいて定められている税率が割り当てられます。
現時点で適用になっている商品ごとの関税率をまとめたものを「実行関税表」と言います。
関税率の変更をテーマとした国際会議や交渉が頻繁に行われております。
輸入実績がある商品ですと、HSコードがわかりますので関税率はチェックしやすくなります。
しかし、これから輸入する商品ですと、どのHSコードに該当するか不確定です。
HSコードの違いによって、関税率(=関税額)が異なります。
ひいては、輸入原価計算に影響を与えます。
輸入原価がいくらかわからなければ、いくらで販売したらよいかわからず不安ですよね。
この不安を軽減するために、税関が行っているのが「事前教示制度」なのです。
事前教示制度とは
事前教示制度は、「輸入前に」、税関に対して、原則として書面で照会する制度です。
照会書には、商品の具体的データを記載します。
具体的には、商品名、製造工程、原材料、成分割合、性状、用途、包装形態などです。
これらのデータをもとに、税関がHSコードを何番にするか判断します。
照会後、原則として30日以内に、税関からHSコードの回答書を入手できます。
そして3年間は、輸入申告する時、回答書のHSコードが「尊重」されて適用されます。
税関は回答したHSコードを完全に「保証」するわけではありません。
しかし、事前教示制度で回答書を入手しておくのは安心につながりますので、とても大切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
まとめますと、
1.すべての商品には、HSコード(税表番号、税番)が付く。
2.関税率は、HSコードで決定される。
3.新規商品を輸入するときには、税関の事前教示制度を利用するのがおすすめ。
4.HSコードを知ることで、該当する関税率(関税額)を知り、正確な輸入原価計算をすることができる。
正確な輸入原価計算をするために、事前教示制度を利用されることをおすすめします。
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